『もしドラ』著者岩崎氏が語る!部屋が変われば人生も変わる!岩崎夏海さん×小西奈々穂さんインタビュー

キレイな部屋で暮らしたい。そう思っていても、「荷物が多い」「片付けが苦手」「忙しい」など、得意の常套文句でつい今の暮らしを肯定してしまうのが、掃除や片付けが苦手な人のパターンですよね。大ベストセラー「もしドラ」こと、『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』の著者である岩崎夏海さんは、部屋を活かすことで人生が変わったという自身の体験から、「部屋を考える会」を発足。

夢の実現、望まない現実からの脱却を図る「ヘヤカツ」を提唱し、エヴァンジェリストとして活動に携わる小西奈々穂さんとともに、実際に部屋の変身を手助けするほか、そのノウハウをまとめた本「部屋を活かせば人生が変わる」が話題となっています。

なぜ人生を変えるのにヘヤカツが大切なのか、お2人にお話を伺いました。

引越しを機に片付けられるようになり人生が変わった

――ヘヤカツを起こそうとしたきっかけを教えてください。

岩崎:私は長く、“人間はどうすれば変われるか、どうやったら成長できるか”というのをテーマに考えてきました。また、人それぞれ成長する時期としない時期がありますが、実はその違いには環境があるのだと気づいたのがきっかけです。

たとえばライバルのいる環境にいると、自然と切磋琢磨して成長できるといったこともありますが、環境の最終的なものは自分が暮らす住空間なんです。

私は以前、両親が仕事で家を離れている間、3LDKの庭付き一戸建てにひとりで暮らしていました。一見豊かな暮らしに思えますが、部屋が広い分片付けるのが大変で、そのうちに開かずの間ができて、掃除も片付けも行き届かなくなってしまいました。ですから、それまで自分は片付けられない人間だと思っていたんです。ですが今から8年ほど前に、職場に近い方が便利だろうと、渋谷にある18平米くらいの狭いワンルームに必要最低限の物だけ持って引越しをしたら、片付けができるようになったんです。それから、「もしドラ」が出て、今の会社を起こすようになって人生が大きく変わっていきました。

そういった中で、部屋が変われば人生が変わるのではないかという思いを抱いていたのですが、ある時事務所に来る方々が口々に「この部屋はキレイだ」とか、「居心地がいい」とおっしゃるんです。私としては、当たり前の状態だったのですが、多くの人にとってそうではないとしたら、そこに価値があるのではないかということで、この部屋のつくり方、部屋づくりの実践法を共有するためにヘヤカツという活動をはじめました。

小西:私はもともとイメージコンサルトとして、お洋服を選ぶお手伝いをしてきました。その仕事のなかで、クローゼットを拝見する機会があったのですが、クローゼットの中というのは部屋のキレイさととても関係が深いことに気づきました。

洋服に対して、整理整頓された考え方をもっていると、部屋も同じように整理整頓されていくんです。服の選び方、クローゼットの中、部屋のキレイさというところに共通点があり、岩崎さんの考え方に共感したことがきっかけで、今はヘヤカツを一緒にさせていただいています。

物があることが贅沢なことではなく、物が少ないという贅沢を知る

――部屋がキレイな人の共通点はなんですか?

岩崎:「お笑いで成功する人は部屋がキレイ」という一つのセオリーがあります。売れる芸人さんというのは頭がいいんです。そして、その頭のよさというのは記憶力がいいということなんです。

たとえば、会話をしながらその時々に応じて適切な例え話をすることができるのは、記憶がきちんと整理されているから。この記憶の整理法というのは部屋の片付けにも通じていて、本棚に本を収納するような感覚と似ています。ですから、記憶が整理されている人というのは、片付けや収納の技術・考え方に長けていて、部屋も散らからないんです。

稀に、部屋が汚いけれど社会的には成功していると考えられる人もいますが、部屋のキレイさと成功の尺度というのはその人の中にあります。どんな人でも、今の状態より部屋をキレイにすればさらに成功できるチャンスがあるということです。

それから、部屋がキレイな人は部屋の広さを把握していますね。今ある物をどうやってこの部屋に納めるかではなく、今の部屋の広さに対して適切な量の物を持つことが大切です。

――その逆に、部屋が片付かない人の共通点はありますか?

部屋が片付かない人によくあるのは、お客さん用の布団があったり、トイレットペーパーなどをまとめ買いして、そういったものに部屋のスペースをかなり占拠されているということ。“空間コスト”という言葉を使いますが、たとえば10畳10万円の部屋で2畳分はストックな不要品の保管に使っているとしたら、倉庫代に月2万円を払っているのと同じことです。まとめ買いをして得した気分になっていても、倉庫代を払ってまで保管しているとしたらそれは非合理的なことですよね。いくらお客さん用の布団を持っていても、お客さんが呼べないような部屋に住んでいては意味がありません。

本当の意味で合理的な視点を持つことがヘヤカツには必要ですし、昔と違って今は手軽に物が手に入る時代だからこそ、部屋には不要不急の物を極力おかないという暮らしの方が実は贅沢なことなんです。

ヘヤカツでは80代の方のお部屋をキレイにしたこともあります。その方は、育った時代の影響もあって、裏紙に使えるチラシがどうしても捨てられなかったそうですが、考えを改めて物を整理したことで、「人生が変わった!」とおっしゃってくれました。自分が暮らしている部屋や、そこに置いてある物というのは、年齢に限らずそれだけ自分に影響を与えているんです。

掃除や片付けはやりたいやりたくないではなく、「やらなければいけない」

――春に向けて引越しを予定されている方も多いです。部屋が決まったら、まず何をすればいいですか?

岩崎:掃除用具の置き場所と動線を確保することです。つい、荷物をどう入れるか、どんな家具を置くかなどと考えてしまいがちですが、部屋というのは人が動く場所ですから動線が必要です。それを考えずに、とにかく持っている荷物を納めることだけを考えてしまうと、人が動きにくい家具の配置になってしまいます。

ワンルームなどでよくあるのが窓のわきにベッドをくっつけて置くパターンです。一見、部屋を効率よく使っているように感じますが、窓を開けるためにベッドにのぼらないといけないという状態は、窓を開けにくくさせて、結果としてホコリがたまりやすくなったり、空気が澱んだり、住み心地の悪い部屋をつくってしまいます。限られた空間の中で、物を取捨選択する。いずれにしても物は増えていきますから、最初は寝具と最低限の荷物で入る方がいいですね。

――部屋をキレイに保つ配置を考えるということですね。

岩崎:それが生活の基本なんです。多くの人が、掃除や片付けといった部屋のメンテナンスをゼロで考えてしまうので掃除をしなかったり、片付けを後回しに考えてしまう。でも、メンテナンスは義務であって、ならばそれをどう効率よくするかという発想になると、考え方が変わってくるはずです。

体にとって新陳代謝がどれほど大切かはみなさんご存知だと思います。部屋にとってのそれが、掃除、洗濯、食事。これを、いかに効率よく、心地よくできるかというのが、もっとも大事で、それは人間にとっての歯磨きや毎日食事をしたり、お風呂に入ることと同様に、「やらなければいけないこと」なんですよね。

また、そういった作業の意味をきちんと考えることも、キレイな部屋を維持するためには大切です。たとえば、服を畳むという行為。「どうせすぐ着るから非合理的」と思うかもしれませんが、畳むという行為の中で「かなり汚れてきたから、買い換えようか」とか物と向き合って考える時間が生まれる。単なる作業ではなく、そういった行動一つ一つに意味があって、それを考えることで、生活のクオリティというのは全然違ってくるし、結果として部屋がキレイになり、引いては人生を変えることにつながるんです。

――最後にメッセージをお願いします。

小西:引越しなどは一回自分をリセットさせるタイミングで、自分の生活や考え方を見直す機会になると思います。ヘヤカツをして素敵な部屋に住んで、新しいスタートをきってほしいなと思います。掃除は本来、すごく楽しいものだということを知ってほしいですね。

岩崎:これからますます競争社会になっていきます。仕事を頑張るというのは当たり前で、そこでの差というのはあまりつかなくなるんです。そうした時に、実は大きな差をつけるのが生活をどう過ごしているかということ。今、みなさんが考えている以上に、どんな部屋で暮らすかというのは重要な人生の決定事項なんです。そういったことを知って、部屋を活かして人生をよりよいものにしていただきたいなと思います。

text/Tomiko Fujita
photo/Junichi Asada

PROFILE

岩崎夏海
1968年、東京出身。東京藝術大学美術学部建築科卒業。1991年、秋元康氏に師事。以降、放送作家として多くのテレビ番組制作に携わる。2009年、初めての著書『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』がベストセラーに。

小西奈々穂
イメージコンサルタント。ヘヤカツエヴァンジェリストとして、ヘヤカツの普及に務める。

ヘヤカツ.com

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