ヘヤジンインタビュー 『株式会社モダンアパートメント 渡邊勇三 代表』

ローコスト・デザイナーズリノベーション事業を確立するまで

――事業はすぐに軌道にのりましたか?

8ヶ月は、仕事がゼロの状態でした。手元の資金は残り20万、いよいよこれはもう倒産かというところまで追い込まれました。今思うと、当時は「絶対出来る」というメンタルだけでもっていたんですね。だから自信が、一度ズタズタに崩壊しました。

だけどそんなとき、親父から電話がかかってきて励まされたんです。そして思った。親父は一人で夜中まで図面をかいて、家族をずっと守ってきた。そんな親父に比べたら、自分にはもっとやれることがあるんじゃないかと。自分は今まで、格好ばかりを気にしていたなと。

――新入社員時代も起業した頃も、お父様が随所で良いきっかけを与えてくれているんですね。しかしそんなどん底の状態を、どうやって打開していったんですか? 

顧問税理士の方に頼んで、オーナーや不動産会社の方々を集めたセミナーを開いてもらったんです。自分がやってきた実績とノウハウをわかってくれたら、仕事を頼みたいと思ってくれる人もいるんじゃないかと思って。

――セミナーは成功しましたか?

そのセミナーに集まったのは、4人でした。一瞬、終わったなと思いました。

でも逆に言うと、顧問税理士の方のおかげで、こんな無名のわけのわからない奴のために4人もの人が集まってくれた。そう思って、しどろもどろで汗だくでしゃべりました。

すると一人だけ、すごく共感してくれた人がいたんです。「君がやっていることはすばらしい。これからは絶対に中古の市場になる。今はしんどいかもしれないけど、絶対にふんばってがんばれよ」と。そう言ってくれたんです。

そしてその方の後押しで、今度は不動産会社の社長が70人ほど集まる場で、話をする機会がもらえたんです。4人のつぎは、70人。70人もの人の前で、またしどろもどろになりながら話をしました。するとそこから少しずつ共感してくれる人が増えはじめ、仕事が広がっていきました。

――現在 MAでは、ローコストでデザイン性の高いリノベーション物件を多数手がけていますよね。なぜ「ローコスト」と「デザイン性」にこだわったのですか? 

僕らのデザインコンセプトは、「10人中3人に強烈に好まれる部屋」なんですね。10人中7人の人には響かなくても、3人の人には「こんな部屋見たことない! この部屋に住みたい!」と思って住んでほしいなと。だから僕たちは壁紙やフロアタイルなどを使って、一瞬で入居者の心に響くようなデザインの部屋をつくりました。安い素材でも、色の組み合わせや全体の色彩バランスで、コンセプトのある部屋にしたいと思ったんです。

――どうやってそのデザインコンセプトを導きだしたんですか? 

調査項目をつくって、「なぜこの部屋が空いているのか?」というのを分析したんです。すると僕らの仮説としては、空室の部屋の98%が「特徴がない」という結果が出たんです。必ずしも、「狭くて古くて駅から遠い」というのが悪いわけではない。やはり差別化をして強みをつくらないと、部屋は選んでもらえない。だから「特徴」をつくるようにしたんです。

もちろんこれ以外にも入居者が決まらない原因はあるので、きちんとした市場調査をして、そのエリアに合わせた提案をしています。それが、いまの実績につながっていると思います。

コーディネートできる家具付き賃貸「RENOCA(リノカ)」

――10月1日には、リノカという新サービスがはじまりますね。具体的にはどういうサービスなんですか?

入居者の方に、「家具付きの部屋がいいですか?」「それとも普通の部屋がいいですか?」と選んでもらえる仕組みです。たとえば入居者の方が「家具付き賃貸」を選ぶと、毎月の家賃にプラス1000円~するだけで、「新品」の「おしゃれ」な家具が、自分の好みで「選べる」。そして4年以上の入居で、その家具を「100円」で買い取ることもできる。そんなサービスです。

具体的に言うと、毎月の家賃にプラス1000円だと6万円相当、2000円だと12万円相当、3000円だと18万円相当の家具が選べるといった具合に、入居者の方がプラスで支払う金額によって、選べる家具の上限金額が変わってきます。そしてその上限金額の範囲内でリノカ専用ウェブサイトから家具を選ぶと、入居のタイミングに合わせて家具が届くという仕組みです。

――どんな家具が選べるんですか? 

選べる家具は、現時点で500種類ほど(商品総数)あります。ひとつにかかるコストを抑えてたくさんの家具をそろえたい人や、天然木の突き板などを使用した素材重視の家具を選びたい人、また有名デザイナーズ家具のリプロダクト品を集めたい人など、入居者の方の希望に合わせたものを選べるように、たくさんの家具を取り揃えています。

――「リノカ」はショールームもオープンするんですよね?

はい。目黒ショールームにはリノカで取り扱っている家具を置いて、入居者の方に具体的な部屋のコーディネートを見てもらえるようにします。

そろそろ引っ越しでもしようかなと考えている方や、家具にこだわって生活をしたいけど、引越し資金と家具代を同時に出すのは難しい。そんな方に、「家賃にプラス1000円だったら住みたいな」と思って利用してもらいたいです。