「75点目標」で作られる住宅やマンションだからこそ、自分で「25点」を補ない続けなければならない。

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(I .. C .. U)

年齢に関わらず、私たちは自分の住む部屋から、知らず知らずのうちに大きな影響を受けていますが、特に50代という年齢に差し掛かると、部屋の中は、それまでの数十年の中で積み重ねられた様々な「モノ」であふれ、ただ単に「モノ」が増えていくことで、あなたの部屋からどんどん新鮮な空間が失われていきます。

私たちは、街の流れ、人の流れなど様々な「流れのフロー」の中で生活し、日々、「流れのフロー」の中からエネルギーをもらっていますが、自分の部屋も同様で、モノばかりがたまり、部屋の中から「流れのフロー」が止まってしまうと、変化を求める思考が薄くなり、それが自然と「老い」につながっていきます。

↑「流れのフロー」が消えると、老いは一気に加速する (Agustin Rafael Reyes)

戦後、モノがない時代に育った人たちは、全体的にモノをため込む傾向にありますが、人間は適度に新しい発見や変化を必要とする生き物であり、毎日のように過去の栄光や思い出に囲まれて生活するようになると、脳や身体の活力は次第に失われ、次第に人生はどんどん停滞していくことになります。

部屋の「流れ」を取り戻すひとつの目安として、部屋のスペースの割合は「(空間)7:3(家具)」が理想だと言われていますが、この割合を作る一番シンプルなやり方は、引越しのように部屋の全てのモノを段ボールに入れ、家具とともにいったん外に出して、7割の空間を意識しながら部屋作りをしていくことで、自分に必要なものとそうでないものがハッキリと見えてきます。

↑老いを加速させない部屋は「(空間)7:3(家具)」が理想 (Mónica Pinheiro)

住宅やマンションというのは、「できるだけ多くの人に売る」という目的で間取りが作られているため、どうしても「75点程度」の使い勝手のものが多く、自分なりにどんどん工夫していかなければ、生活に変化のないルーティーンにはまり、脳の思考回路は著しく低下していってしまうのではないでしょうか。

↑75点程度の刺激では脳の思考回路はどんどん低下していく (Neil Conway)

世界的スターのマドンナは、毎日の運動を欠かさないストイックな面を持つ一方で、アカデミー賞受賞式後のパーティーを自身で毎年主催するほどの社交家として知られ、最近の活動を見ていてもアクティブに変化を求める姿勢が、何十年もファンを失わない大きな秘訣なのかもしれません。

↑毎日の刺激や変化が、人生のクオリティーに比例する (Robson Silva)

また、50代はビジネスの世界でも重要な役割を担う年齢で、アメリカではトップ50のCEOの平均年齢は53歳で、知識や経験などを考慮しても、最も仕事ができる年齢とされていますが、少子化や実務経験の少ない若者が増えていくなかで、今後ますます中高年者の活躍が期待されていくことは間違いありません。

2007年には改正雇用対策法により、求人、募集、そして採用時の年齢制限が原則禁止となり、今後は年齢制限で門戸を閉ざされがちだった中高年者の仕事が、見つけやすくなっていきます。

↑優秀なビジネスマンは一生現役 (Fortune Live Media)

日本に続いて世界第二位の高齢化国であるドイツでも、中高年世代が活躍した有名な例があり、2012年に自動車メーカーのBMWは、工場のラインで、50歳以上の労働者を含む平均年齢47歳でチームを作り、結果を観察する"Today for Tomorrow" というプロジェクトを行いました。

この実験によれば、短い休憩を複数回取ると生産性が上がることや、眼精疲労の暖和、エラーを減らすために新しい拡大レンズを導入した方が良いことなど、70個以上の発見があり、改善案を導入することで、このシニアチームの生産性は、プロジェクト開始から1年後には、若い労働者グループと同様のレベルにまで上がったと言います。

↑BMW本社では、2017年に社内の平均年齢が8歳上がる (Penn State)

ハリウッド俳優のジョニー・デップは、50歳を迎えた時のインタビューで、次のように述べました。

「毎朝目が覚める度に、まだ自分がこの世に存在していると感じるのはいいことだ。また息を吸ったり吐いたり、呼吸をできることそのものが素晴らしいと思う。それは50歳になっても変わることはないよ。

↑50歳を超えても結局、考え方次第 (Andy Templeton)

CDC週刊疫学情報によれば、1999年から2010年までの間に35歳〜64歳の自殺率は28.4%増加、中でも50歳代の自殺率は2倍にもなっており、人生の折り返し地点で生きる意味を見失ってしまう人も多いようです。

日々の生活は年齢を重ねれば重ねるほど、マンネリ化していき、自分で意識して刺激を求めるようにしていかなければ、どんどん「老い」が浸透していきます。

部屋の見直しなんて、刺激のほんの一部なのかもしれません。

参考文献:部屋を考える会「50からの老いない部屋づくり」

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ヘヤジン編集部
部屋探しが3度のご飯より好き!部屋探しによって人生をより良く変える「ヘヤ・ハッキング」の提唱者。『ヘヤじい』の愛称でもお馴染みのヘヤジン編集部員。
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