中国と地球「次のビル・ゲイツが生まれるのはIT業界ではない。」

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(Pic by dailytech)

1970年代の終わりに、中国が経済市場を開放して以来、世界経済は大きく変化し、日本や米国を支えていた製造業は、賃金の低いアジアに流れ始め、中国ではそれまで誰も知らなかった小さな街が、たった数十年で大都市へと変貌を遂げました。

その中でも、1980年に経済特区に指定された沿岸部の都市、深圳は国民から「高層ビルが一日に一棟、大通りが三日に一本」のペースで生まれると言われており、まさに過去の汚名を挽回するかのようなスピードで成長を続けていますが、それと同時に地球規模の問題も作り出しており、これはもう中国だけの問題ではありません。

↑世界の工場と化した中国の環境問題は、もう中国だけの問題ではない。(Pic by Flickr)

先進国に住んでいる我々には、ちょっと信じがたいかもしれませんが、北京に住んでいる人たちは、ロンドンの人々が天気予報をチェックするように、空気の汚染状態をアプリ上でチェックし、さらに呼吸器系への影響が心配されるため、薬局ではマスクの売り切れ状態が続いています。

2013年の中国への旅行者は、大気汚染が原因で2.5%減少しており、同年アメリカのジャズ歌手パティ・オースティンさんも、北京を訪問中に呼吸器系に感染し、激しい喘息発作に襲われたため、コンサート公演を中止するなど、被害は大きく広がっています。

あるリサーチによれば、世界での大気汚染による死亡者の40%は、中国国内から発生し、世界人口のおおよそ20%を占めているそうです。

↑天気予報をチェックするように、中国では空気の汚染状況をチェックしなければならない。(Pic by Flickr)

中国はもの凄いスピードで環境を汚染していますが、アメリカや日本を含む多くの先進国も、発展をする過程で同じように空気を汚染しており、ピッツバーグ大学のトーマス・ロワスキー氏によれば、アメリカ、日本、そして韓国が発展途上だった時も、今の中国と同レベルの大気汚染が観測されていたことが分かっています。

しかしながら、中国はまだ先進国の生活水準に追いついておらず、環境汚染の重大さを感じている先進国も、20世紀に自分たちが散々環境を汚染してきたため、現在同じことをしている中国に強く当たることができません。

↑日本も中国と同じように環境を汚染してきた。(Pic by City.amagasaki)

中国の汚染問題の悪化は、先進国が製造業の拠点を海外にアウトソーシングし始めたことが原因の一つであり、2006年の調査では、中国内の17〜36%のスモッグ(大気汚染物質が浮遊しているため周囲の見通しが低下している状態)は、輸出用品を作る工場が原因で発生していることが分かっています。

さらに、日本でも一時期、中国からの大気汚染により汚染測定限度を超えたことが話題になりましたが、アメリカ西海岸のカリフォルニア州でも、大気汚染の29%はアジアから来ているという調査結果もあり、この大気汚染によって、北米でストームやサイクロンが激化しているとテキサスA&M大学のレンイー・チャン氏は指摘しています。

↑環境汚染はアジアを超えて、アメリカまで。(Pic by Flickr)

先進国は1900年代に散々環境を汚染し続け、それを人件費の安いアジアに移したことで、結局のところ自分達の環境を汚染してしまっています。

上海の環境団体、Juccceの創設者、ペギー・リューさんはTEDトークのステージで次のように述べました。

「汚染は国境を越えています。中国の汚染問題はみんなの問題です。今後、中国の環境に対する判断が何千年先の世界にも影響を与えるでしょう。中国の急速な経済発展は素晴らしいですが、それと同時に急激に空気汚染を起こしているのも事実です。」

↑ペギー・リューさん「中国の汚染問題は地球規模の問題です。」(Pic by TED)

中国が環境汚染に対する対策をしようとしまいと、中国以外にもインドなど、大量の人口を抱えている国はまだ数多くあり、このままのサイクルを続ければ、22世紀を迎える前に地球はなくなってしまう可能性は十分にあります。

マイクロソフト創設者ビル・ゲイツ氏は「次のビル・ゲイツを生み出す産業はどこですか?」という大学生の問いに、「環境フレンドリーである、エナジービジネスは熱いよ。」と述べていますが、おそらく今後エナジービジネスの市場はどんどん広がっていき、もしかすると20年後、「IT起業に勤めています!」なんて言うと古臭いと思われる時代がやって来るかもしれません。

↑ビル・ゲイツ「次の数十年、エナジービジネスの需要はどんどん増える。」(Pic by Flickr)

ペギー・リューさんは、中国で4人家族、庭付きの一軒家に住み、車を各自所有するという様なアメリカンドリームのようなことは出来ないが、より良い商品、サービスを「所有」ではなく、「共有」することで、より多くの人が喜びを分かちあえるという「中国ドリーム」を発表しました。

現在、経済成長真っ只中のアジア諸国が、北欧の国々のような生活をしているところを想像するのは難しいですが、多くの「モノ」だけに囲まれた時、はじめてその虚しさに気づくのかもしれません。

我が国も、それに気づき始めている人は多いのではないでしょうか。

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ヘヤジン編集部
部屋探しが3度のご飯より好き!部屋探しによって人生をより良く変える「ヘヤ・ハッキング」の提唱者。『ヘヤじい』の愛称でもお馴染みのヘヤジン編集部員。
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