自分だけの所有を減らそう「大きい家、大きい車は20世紀の遺産である。」

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↑Pic by Flickr

かつて世界中の人たちが魅了された「アメリカン・ドリーム」とは、どこの国の生まれで、どんな人種であっても、明確なビジョンを持って人一倍努力すれば、家や車を購入でき、子供も大学に行かせることができるというアメリカ創設以来から続く、独自の哲学でした。

実際、その哲学自体は今だにアメリカ人の心の中にあり、変わっていないのかもしれませんが、グローバル化とIT化がもの凄い速さで進む中で、毎日数多くの人が貧富から抜け出してアメリカ人のようなライフスタイルを求めるようになってきているため、人類の欲求と資源のバランスが少しずつ崩れてきています。

↑誰でも人並み以上に努力すれば、家も車も所有できる。それが従来のアメリカン・ドリームだった。(Pic by Flickr)

そんな中、現在世の中は、モノを個人で所有するという時代から、他人、もしくはコミュニティー内で共有するという新しい時代にシフトしており、その代表格としてAirbnb(部屋を共有)やUber(車を共有)など、IT技術が発達することで、個人と個人がモノを共有することが以前よりも格段に簡単になりつつあります。

↑個人でモノを所有するのではなく、他人と共有する時代へ。(Pic by Flickr)

しかし、2013年に行われたある調査によると、18歳から29歳のアメリカ人の内、10人に7人が「現在マイホームを所有しないが10年以内に購入する事を夢見ている」と答えており、また、アイルランドでは30代におけるマイホーム願望が約85%に達している事が明らかになるなど、重荷になりつつあるとされている「マイホーム」に対する願望は世界でもまだ根強く残っていることが分かります。

その昔、結婚/家族が増える事をきっかけに多くの人がマイホームを手にしてきましたが、晩婚化、また結婚しないという選択肢を自由に持てるようになった今、独身で生活する時間がぐんと伸びた私たちはマイホームへの願望はあるものの、なかなか一歩が踏み出せない状態にあるのが現状のようです。

↑85%が未だにマイホームの購入を夢みている。(Pic by Flickr

そこで現在、欧米を中心に広がっているのは、共同で家を所有するという価値観で、それは従来のアメリカン・ドリームの象徴と言えるような大きな家ではなく、地球に優しい材料で作られ、自然エネルギーで家の電力を賄う仕組が組み込まれているなど、エコフレンドリーな家を好む傾向にあるようです。

「自分一人で住宅ローンを払うのは不可能だったの。ちょうど妹もそうだったのよ」とシドニーで2ベッドルームの家を妹と購入したダラニーさん31歳は述べていますが、彼女のように、兄弟姉妹また親族と共同名義で住宅ローンを組み、マイホームを手に入れる単独バイヤーが増えてきており、オーストラリアの不動産業界は「新しい当たり前」として、今後この傾向の伸びを期待しています。

↑エコ、共有は次の時代の新しい価値観。(Pic by Flickr)

また家と同じようにアメリカン・ドリームの象徴とされてきた車に対する考え方も、大きく変わってきており、こちらも「所有する」から「共有する」の流れにゆっくりとシフトし始めています。

BMW関連のカー・シェアリングを提供しているトニー・ダグラス氏は次のように述べています。

「もうあなたは車を使う時だけ、料金を払えばいい。これは音楽業界と同じことさ。少し前はアルバムを購入するためにお金を払っていたけど、今はストリーミングのために料金を払うのが当たり前だからね。」

↑駐車場もメンテナンスの必要なし。使いたい時に使いたいだけ。(Pic by auto-kinesis)

最近では、エコ、そして共有に対する意識が高いオーストラリアで、カーシェアリングを提供するGoGet、住宅メーカーの積水ハウス、そして大手不動産のフレイシャー不動産の3社が連携して、未来のマンションが建設されました。

このマンションでは本来、マンション内の駐車場にかかる費用とスペースをカットすることで、広々とした部屋を低価格でテナントに提供しており、さらにマンション内に特別設置された「スーパーポッド」と呼ばれるスペースには、自由に使用可能なカーシェアリングの車が60台用意されています。

↑スーパーポッド「いつでも使用可能な車が常に60台完備されている。」(Pic by themotorreport)

サブプライムローン、リーマンショック、そして地球温暖化など2000年代に起こった様々な出来事が私たちの価値観を少しずつ変えていっています。

どの時代も新しい世紀の最初の10年は、前世紀の価値観をリセットし、新しい世紀へ向かうための準備期間とされるらしいですが、2015年を迎え、私たちの新しい生活が少しずつ見え始めたのではないかと思います。

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ヘヤジン編集部
部屋探しが3度のご飯より好き!部屋探しによって人生をより良く変える「ヘヤ・ハッキング」の提唱者。『ヘヤじい』の愛称でもお馴染みのヘヤジン編集部員。
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