​親が死んだ時、実家の片付けで悲しむ9割にならないために

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(Ben Raynal)

遺品整理の専門家である内藤久さんによれば、親の遺品の整理には、「幸福な片付け」と「不幸な片付け」があり、世の中のおよそ9割の人たちが、何となく後味の悪さが残る「不幸な片付け」を通じて、育ててくれた親との思い出に別れを告げているそうです。

医学の発展により、日本の平均寿命は80歳を超えましたが、それが寿命によるものなのか、事故なのか、病気なのかはともかく、親との別れは突然やってくるものであり、生前、親とコミュニケーションを上手くとっていなかったために、遺品をどのように片付けてよいか分からない人たちが増えています。

↑原因は何であれ、親との別れは突然やってくる。(Ojo de Cineasta)

正月やお盆に帰省した際、家の中を見渡すと「物が多いな、要らないものばかりだな。」と思ってしまいますが、親が亡くなった途端、それが単なる「モノ」ではなくなった時、遺産整理の辛さを初めて痛感するのではないでしょうか。

「親が死んだとき、後悔する人、しない人の実家の片付け」という本の中で、ある30代の男性の母親が亡くなった時、遺品の整理を先延ばしにして、母親のマンションの家賃を2年間支払い続けたという話が紹介されていますが、もう必要ないと分かっていても、思い出の詰まった遺品はなかなか処分できないのが現状です。

↑もう必要ないと分かっていても、親の遺品はなかなか処分できない。(8 Kome)

「幸福な片付け」とは、親がまだ元気なうちに、親としっかりコミュニケーションを取りながら共同で遺品を整理する作業のことで、子供は親の人生を追体験しながら、品々の温もりを感じていきます。

「生前整頓」とはただ単にこれは必要なもの、これは必要ないものといった具合に分別するのではなく、親の気持ち、親の暮らしぶり、そして親の価値観などを通じてコミュニケーションを取ることが大切で、「不要な物を捨てる」という意識を持っていると、お互いの気持ちを通じ合わせることが難しくなってしまいます。


↑「幸福な片付け」とは、親の人生を追体験すること。(Armando Torrealba)

「不幸な片付け」とは、真剣にやればやるほど、親が好きだったもの、大切だったものが分からないまま遺品を片付けることになり、ヘトヘトになって終わったと思えば、罪悪感や後悔が残る遺産整理のこと指します。

この原因を一言で言えば、生前のコミュニケーション不足が原因であり、「親の心、子知らず」という言葉があるように、 約9割の子供が親の価値観を理解しないまま、自分も老いていってしまっているのが現状です。

↑親の心、子知らず。(shinryuu)

「親が死んだとき、後悔する人、しない人の実家の片付け」の著者、内藤久さんの父親はボウリング好きで、よくお酒を飲みながら、ボウリング大会の出来事を楽しそうに語っていたそうですが、内藤さんは忙しくて、耳を傾ける暇がなく、どれが父にとって大事なトルフィーかを聞くチャンスを逃してしまったそうです。

親はいくら年を取っても、その子供の親で、できるだけ子供に迷惑をかけたくないと思っていることから、お盆や正月に実家に帰って、何となく家が汚くなったと感じた時、積極的に子供の方からコミュニケーションを取ることが大切になってきます。

↑「幸福な片付け」をするには、子供の方から積極的にコミュニケーション。(Cherrie Mio Rhodes)

ここ数年、「就活(就職活動)」をもじった「終活」という言葉が話題になり、多くの人たちが自分の葬儀や墓、そして相続の内容などを生前から決めてしまうことが珍しくなくなりました。

この世の中の流れが良いか悪かは別として、「生涯終焉への備え」を行うイメージが、それほどネガティブではなくなりつつあります。

親が亡くなった後、遺品を整理して、「これを全部捨てなければならないのか。」と気づいた時、親が子供からのコミュニケーションを待っていたことに気づくのかもしれませんが、残った遺品は何も語ってくれません。

親の心、子知らず。遺品の整理は親と子供が行う最後の共同作業なのではないでしょうか。

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ヘヤジン編集部
部屋探しが3度のご飯より好き!部屋探しによって人生をより良く変える「ヘヤ・ハッキング」の提唱者。『ヘヤじい』の愛称でもお馴染みのヘヤジン編集部員。
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