​なぜ、暴走族が減ってきているのか。

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マーク・ザッカーバーグはフェイスブックを立ち上げる時、半導体の集積回路は、18ヶ月〜24ヶ月で倍増するという「ムーア法則」に倣って、ひとりの人がオンライン上に書き込む量は、毎年倍増していくだろうと予想していたそうですが、ここ10年、15年で世の中のライフスタイルは大きく変わり、自分たちマスメディアこそが、流行や文化の発信源であると考えていた人の影響力が徐々に小さくなってきています。

↑人々がオンライン上に書き込む量は、年々倍増していく (Dan Farber)


現代の若者はそれぞれの価値観を持っており、CMや広告でどんなに「ハッピー」な感じを作り上げても、「私たちの求めているハッピーはこんなものじゃない」と言われたら終わりですし、新成人の約92%が、「人からペースを崩されたくない」と考える一方で、それと同じぐらいの86%の若者が、「人に気を遣う」と答えていることからも、最近の若者の傾向として、自分らしさを大切にする一方で、他人との協調も同じぐらい大切にする人たちが、増えてきているのではないでしょうか。

↑若者の「ハッピー」の価値観はそれぞれ違う (Paul Hocksenar)

バブル経済破壊後に幼少期を過ごした若者を指す言葉として、「ゆとり世代」や「さとり世代」などと呼ばれますが、「つくし世代"新しい若者"の価値観を読む」の著者、藤本耕平さんは1992年以降に小学校に入学した若者(現在29歳以下)を、「つくし世代」と呼び、彼らは自分の利益になることをしようと考えるのではなく、周りの人が喜ぶように振る舞い、人に尽くすことを重要とする世代であると述べています。

↑現在29歳以下の若者は明らかに異なった価値観を持つ (Marcel Hauri)

例えば、最近は農業に興味を持つ若者が増えていますが、もしかすると、このような行動原理の中にも「仲間との一体感」や「感謝」という概念が隠れていて、自分の作業の結果が実感しやすい仕事だからこそ、ボランティア活動として無給で手伝う人たちも増えてきているのかもしれません。

また、理想の上司ランキングで、松岡修造さんがはじめて1位になったのも、チームを単独で引っ張っていくようなボスタイプの上司よりも、「一緒に頑張ろう」とチームの一体感を高めてくれる人たちが、若者の理想像に近いのではないでしょうか。

↑チームを単独で引っ張っていくボスよりも、「一緒に頑張ろう」と一体感を高めてくれるリーダー (Youtube)

さらに、最近では不良は徐々に減少する傾向にあり、昔の若者が不良や暴走族になったりしたのは、優等生になることを求められて、個性を押し殺してくる大人たちに対しての反抗の一部でしたが、今の若者はそれほど優等生になることを求められず、「自分らしさって何だと思う?」という教育を受けているため、社会に対しての不満もそれほど溜まっている感じはありません。

↑今の若者はそれほど優等生になることを求められていない (Son of Groucho)

現在では、10〜20代の50%以上が、Webで友達になったことがあると述べており、学校が始まる前から「2015年に◯◯大学に入学する人」というコミュニティーに参加し、事前に知り合いになるというパターンも全然、珍しくありませんし、今の若者たちほど、一人一人がいくつものコミュニティーに属して、たくさんの人と関係を持ち、活発にコミュニケーションを取っている世代はないのではないでしょうか。


↑入学式前からWebで繋がっているということも珍しくない (22n)

ただ、この繋がり願望が強い世代は、コミュニティのルールに縛られすぎていることも事実で、グループでまとまっている、またそこから仲間外れにされないように、あまりにも空気を読みすぎる傾向にあると言います。

例えば、若者のカラオケ文化にみられるような、自分の歌いたい曲を選ぶのではなく、みんなが知っていそうな曲を選び、みんなで合唱するように気を遣ったりするなど、コミュニティを大事にするあまり、その和を壊すものは歓迎されないといったような、「村社会」を作ってしまっていることが問題点でもあるようです。

↑新しいつくし世代「和を壊すような行為は歓迎されない」(Jaroslav A. Polák)

つくし世代の間では、SNSなどでもやり取りが不可欠ですが、ある調査によればLINEを利用することをストレスに感じる人たちが増え、すぐに返信しなければならなかったり、気の利いたこを言わなければならないという理由から、70%の利用者は使いたくないけど止められないと答えています。

さらに、アメリカの大学生を対象に行った調査では、フェイスブックなどのSNS離れが進んでおり、インスタグラムのようなフォローされたら仕返す必要や難しい決まりがなく、自由に自分の写真をアップできるようなSNSの需要がより高まっているという結果が出ています。

↑進む若者のSNS離れ (Dimitris Kalogeropoylos)

ワイヤードの編集長を務めた小林弘人さんは、「社会はウェブをコピーする」と述べ、インターネット上で起こったことはすべて現実の社会でも起こると断言していますが、Web上のバーチャルの人間関係に疲れた人たちが、自分と趣味の合う人たちとのリアルな人間関係を重視し始めようとしているのが、ちょうど今なのかもしれません。


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夏目 力 (Leading&Co.)
リーディング&カンパニー創業者。
スーツが嫌いで、レッドブルとお風呂が大好きなクリエイター。現在、スイスに住む方法を東京で模索中。
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