​日本で旅行ついでに電化製品ではなく、マンションを買って帰る外国人

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バブル崩壊という過去の苦い経験から、日本人の中には「不動産」と聞くだけで拒絶反応を示す人も少なくなく、国内における人口の減少、それに伴い、マーケット自体は縮小傾向にあり、業界全体としてあまり元気がないように思います。

しかし、ここ数年、アベノミクス効果や海外投資家などによる不動産購入の増加で、日本の不動産の価値が高まっており、米国の不動産サービス大手、ジョーンズ・ラング・ラサールの「世界主要都市調査(2014年・第四半期)」によれば、東京が商業不動産の取引額で、世界有数の不動産市場と言われるニューヨークやロンドンを抑え、初のトップに輝き、三井不動産リアルティの佐藤氏は、「海外投資家による買い注文は今後も続くどころか、むしろこれからも増えていくだろう」と述べています。

↑再度、注目を集める日本の不動産市場 (Ryosuke Yagi)

日本の不動産が再度注目される要因になったのは、世界的に著名な投資銀行、ゴールドマン・サックスが2012年5月、日本の不動産事業を再開した事があげられ、東京のオフィスビルを中心に今後3〜4年で、約4000億円の投資を行うと発表しました。

リーマンショックで不動産価格が急落して以来、日本での投資を見送ってきたゴールドマン・サックスが不動産投資を再開した事は、日本にとって大きな意味を持ち、また欧米では年金基金による不動産投資の加速によって、長期にわたり、日本の不動産に投資するファンドが増加しているのも注目すべきポイントです。

↑東京のオフィスビルを中心に今後3〜4年で、約4000億円の投資 (shuets udono)

さらに、「アベノミクス戦略特区」として三大都市圏を中心に、外国人が安心して住めるよう、医療現場で英語対応ができるようにしたり、外国人労働者を積極的に受け入れる地区をつくるなど、外国人が住むことを前提とした新しい街づくりが進められており、それが2020年の東京オリンピックとも重なって、大きな相乗効果にもなりつつあります。

↑アベノミクス戦略特区に海外マネーを呼び込む (Dick Thomas Johnson)

日本の不動産には大きな可能性がありますが、ひとつ残念なことがあるとすれば、日本人自身がこの可能性に気づいていないことなのかもしれません。

浮世絵は日本独自の芸術として、今では世界中のコレクター達の間で高値で取引され、現代アートの最先端であるニューヨークでも知名度を上げていますが、当の日本人が長い間、浮世絵の持つ芸術的な価値に気づかなかったために、浮世絵の多くは海外に流出してしまい、もしかすると不動産業界でも同じようなことが起こるのかもしれません。

↑母国や文化の価値は、内側からは意外と分からない (Stuart Rankin)

ここ20年で金融という道具は大きな進歩を遂げ、「不動産」という金融商品がどんどん小口化され、他の債権と組み合わされることで、実際の価値がどんどん見えにくくなり始めました。

金融の力を借りて、実体のない「バーチャルの世界」にお金が集まり、その価値が数百倍、数千倍と膨らんだことがサブプライム・ローンやリーマン・ショックを引き起こす原因になりましたが、日本の不動産に注目している海外の投資家の中にも、同じようなことを考えている人たちが多いのが現状です。

↑バーチャルの世界にお金がどんどん集まる。(zack Mccarthy)

「だから、日本の不動産は値上がりする」の著者、牧野知弘さんは、次のように述べています。

「(外国人投資家は)日本の不動産というハコの中身には、実はさして興味ないのです。そのハコ(それがたとえバーチャルなものであっても)が、年間どのくらいの純利益を生み出してくれるのか、その利益は今後どのくらい成長が期待できるのか、この数値に含まれるリスクはなにか。彼らの関心は不動産という「実物」よりも、数値をもとにしたバーチャルの世界をさまよっているのです。」

↑多くの投資家はバーチャルの世界をさまよっているだけ(Frits Ahlefeldt-Laurvig)

実際、このような動きは日本以外の都市でも起っており、オーストラリアでは、中国人投資家が都市部の不動産を買い漁っており、シドニー以外の都市部の家の価格は、2003年と比べて倍になっているとも言われています。

現在、日本を訪れる中国人は、もっぱら秋葉原で掃除機や電気釜のような電化製品を買い込んいますが、将来的にもっと経済力をつければ、日本に来たついでにマンションを買っていくといったような凄い時代になる可能性も十分にあります。

↑日本に来たついでにマンションを買っていくのも当たり前になる (Osamu Kaneko)

人間は長い歴史の中で、自然災害や天然資源など、様々な地理的条件を考慮して住む場所を選んできました。

よく、初めて土地を買う時は地元の人に聞けと言われますが、ただ流行りの場所だからと言って、本当に住みごごちが良い場所だとは限りませんし、地価が短期的に上昇したからと言って、それが「お買い得」だと考えるのは、「バーチャルの世界」に生きる人だけで十分です。

↑土地を買う時は地元の人に聞け (Cherrie Mio Rhodes)

インターネットを通じて、あらゆるものの情報が公開され、比較されるのが当たり前になってきていますが、不動産もこの時代の流れとは無縁ではありません。

新規の物件や値段の情報は、インターネットを通じてすぐに広がり、昔のように、「あなただけの特別プライスですよ」といい加減なことを言うのも難しくなってきます。

現在、日本の不動産業界は大きく変化しようとしており、それに気づいているのはかなりの少数派だとも言われますが、しっかりとした情報を手に入れつつも、人間古来の「直感」を大事にしていく、これこそが新しい時代の家の探し方なのではないでしょうか。

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夏目 力 (Leading&Co.)
リーディング&カンパニー創業者。
スーツが嫌いで、レッドブルとお風呂が大好きなクリエイター。現在、スイスに住む方法を東京で模索中。
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