街を彩る虹色の数が、住みやすい町の指標となる。

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(Tim Evanson)

2015年6月26日、アメリカの連邦最高裁判所が同性婚を認める判断を下したことを受け、全世界で約15億人と言われるFacebookユーザーのうち、2600万人が自身のプロフィール写真を虹色に染めました。

この虹色は、1978年にアメリカ・サンフランシスコの「Gay Freedom Day パレード」で旗として掲げられたことが始まりで、6色のそれぞれの色には意味があり、赤は人生、オレンジは癒し、黄色は太陽の光、緑は自然、ターコイズブルーは芸術、そして、紫は精神を象徴し、さまざまな価値観を受け入れることを表していますが、現在、この「虹色」で街づくりをする取り組みが世界中に広まっています。

↑レインボー・カラーは同性婚以上の意味を持つ。(Ted Eytan)

アメリカのシアトルでは、今年6月、国会議事堂周辺の利用者が多い道路11箇所に虹色の歩道を作り、シアトル市長のEd Murray氏は「(虹色の歩道は)シアトルを表している。それはつまり、この街が多くの異なったキャラクターから成り立つ多様性を持つ場所だということだ」と語り、同性愛者たちを含めた多様な人々との繋がりを強調する姿勢を表しました。

イングランド南東部に位置するブライトンでも、昨年6月上旬に地元アーティストによるアートワークが施された虹色の歩道が1週間の期間限定で設置され、この活動に加わったアーティストの一人であるJulieanne Gilburt氏は次のように述べています。

「このアート作品は人々が平等であるというというメッセージを強調するもので、多様性を受け入れるすべての人たちへの私からの贈り物よ。」

↑虹色の横断歩道は多様性と繋がりの象徴。(SounderBruce)

アイスランド の首都Reykjavikの中心部には、虹色に込められたさまざまな年齢・思想等の多様性といった意味を街全体で体言するために、市長と子供を含む住民数十人が作成した虹色の道路があり、市長のDagur Eggertsson氏は、この虹色の道路について次のように述べています。

「多くの子供たちがこの道路を着色することを手伝ってくれて、色を塗るためのブラシを自ら持ってきてくれた子までいたんだ。このような素晴らしい協力と住民の気持ちは、この街をより活気に満ちた人間味のある場所にする1つの方法なのです。」

↑虹色が示すのは、多様性そのもの。(Wilson Lam)

虹色の横断歩道の活動は、ヨーロッパや北米だけでなく、オーストラリア、ロシア、中国、カンボジア、そして、イスラエルなど、世界中に広がりを見せていますが、昨年6月、アメリカ大手ハンバーガーチェーン、バーガーキングでは、サンフランシスコ店限定で通常のハンバーガーの包み紙を虹色に変えて販売するキャンペーンを期間限定で行いました。

紙の内側には、「We Are All the Same Inside. (私たちみんな中身は同じ)」という、人間の平等性を訴えたメッセージがプリントされており、「自分に誇りが持てるようになった」と笑顔を浮かべる人や涙を流す購入者も見られました。

↑私たちみんな中身は同じ。(Márcio Cabral de Moura)

2000年以降、アメリカ国内では6月を同性愛者のプライド月間と定め、15年を経た現在、同性愛者の権利は自然と受け入れられ始めており、多くの都市で、同性愛者を含めた人々の多様性が、都市に活気を生み出し始めています。

「本当に活気のある街というのは、素敵なカフェやナイトライフが楽しめる場所があるだけでなく、体に障害のある人たちや同性愛者等の社会的な差別を感じている人に優しい街であるべきだと思う。」

↑本当に活気のある街は、本当の意味で人間味が濃い街。(Cary Lee)

このように語るオーストラリア・アデレード市議会委員のRobert Simms氏(31歳)は、アデレードの街に虹色の歩道を架ける取組を進めており、12歳の時に自身もゲイであることに気づいた際は、この先の人生にひどく不安を感じたそうで、大学に進学して他の同性愛者に出会うまで誰にも打ち明けることはなかったそうです

そんなSimms氏の同性愛者サポート活動の裏には、まだ数多く存在する、同性愛者であり社会に馴染むことに困惑していた、以前のSimms氏のような若い世代に向けた、「自分を認めて強くいることで物事が良い方向に向かっていく」という思いが込められているようです。

↑どんな姿であれ、他人を認めようとする感情が世の中を少しずつ良くしていく。(philippe leroyer)

情報社会で多くの人が声をあげて仲間を見つけることができるようになり、社会に対しても多様性の価値が高まっています。異なった価値観を持つ人々を集めて誰もが居心地の良い街は、その景観に見える虹色の数で判断できるようになり、世界はどんどん虹色でつながっていくのかもしれません。

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関 希実子 (Leading&Co.)
「No」と言えない日本人代表。多民族・多文化都市シドニーに移住したことをきっかけに、イージーな価値観を勉強中。
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