同性愛者限定の宿泊サービス、Misterbnb(ミスタービーアンドビー)。「泊まるところと温かく迎えられるという体験を」

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(misterbnb)

「暮らすように旅をしよう」をコンセプトにした、自宅の空き部屋を旅行者に提供する宿泊サービス「Airbnb(エアービーアンドビー)」は、ホテルと比べて安価であることや、生の現地生活を体験できると、ヨーロッパや北米のバックパッカーを中心に人気に火が付き、世界192カ国にまで広がりました。

Airbnbは観光業界で急成長している分野で、2008年の創業から2013年までのたった5年間で、その利用者数は600万泊以上を記録していますが、そこからさらに特化して、宿泊場所を提供するホストを同性愛カップルに限るサービス「Misterbnb(ミスター・ビー・アンド・ビー)」が誕生しました。

(misterbnb)

Misterbnb設立者兼CEOのMatthiue Jost氏自身が同性愛者で、Airbnb利用時に、同性愛者への偏見を体験したことから、同性愛者の旅人、特にゲイに対して偏見を持つことなく友好的な受け入れを保障するというサービスとして、2013年にパリでMisterbnbをスタートし、以来130カ国で16,000件の登録数を獲得しています。

↑同性愛者に特化したミスター・ビー・アンド・ビー。(Anrea)

パリでMisterbnbに登録している700件の宿泊場所提供者のうち、60%はAirbnbのような他の同系サービスに登録をしていないことからも、パリではMisterbnbの理念に賛同して宿泊提供する人が多いことがわかり、中でもLe Marais (パリマレ) という地区は同性愛者の間でも人気のある旅先の一つになっています。

パリマレは、もともとはユダヤ教徒が多く住んでいたという歴史を経て、同性愛者含む多様性を受け入れる街へと発展し、訪れる観光客には、その寛容的な雰囲気による居心地のよさと、カフェやバー、そして、ショッピングエリアが点在するおしゃれさを感じさせます。

↑パリの中でも、独特の雰囲気が漂うパリマレ。(Andra Schaffer)

他にも、中東イスラエル第2の都市テルアビブは、2013年から2014年に50,000人から100,000人の同性愛者の旅行者が訪れており、特にゲイの間で注目が高まっている旅行先です。

2011年に行われたアメリカン航空とgaycities.comの統計で、テルアビブは「世界で最もゲイに友好的な街」に選ばれ、訪れた人は、「テルアビブにはゲイが多くいる地区なんてない…町全体がゲイだから!」と語る程で、Misterbnbにおいては136件のホストが登録されており、Hilton等の大手ホテルチェーンも同性愛者のシンボルである多様性を意味する虹色の旗を掲げて同性愛者に対する姿勢を表しています。

↑イスラエルのテルアビブ「街全体がゲイなのだから、ゲイの多い地域などない。」(Atomische * TomGiebel)

Misterbnb のCEO、Jost氏によると、同性愛者は同性愛者ではない人と比べて2倍近く海外旅行に行く傾向にあり、そのマーケット価値は1000億ドルに上ると言われていますが、Misterbnbが生み出したのは、新たな宿泊形態だけではないと、Misterbnbに投資をしている500StartupsのChristine Tsaiさんは、次のように語ります

「Misterbnbは泊まるところを提供するだけではありません。ゲイの人々にどこに行っても"温かく迎えられる"という、これまで彼らにとってはとても難しかった経験を可能にしているのです。」

↑Web上のオープンなコミュニティーが、同性愛者に新たな経験を提供している。(philippe leoyer)

2015年のMisterbnb総収入予測は400万ドルと見込まれていますが、Misterbnbは、同性愛者以外にも、安全な旅を最優先に置く女性の旅人からの需要も固まっています。

Misterbnb利用者の約10%は女性で、同性愛者ではありませんが、Misterbnbのおかげで性的な目を向けることのない宿泊先を得られるようになり、一人旅であっても身の安全を感じると、語っています。

ゲイであるホストの自宅に泊まったドイツからの女性たちも、男性の家に泊まることを反対していた両親が、宿泊先のホストがゲイであることを伝えたら安心してくれて、自分たちも友好的な雰囲気でとても楽しく過ごせたと語っています。

↑女性同士の旅でも、Misterbnbを利用すれば、比較的安全。(Bleding Mole)

「あなたたち、このベッドで一緒に寝るつもりなの?」

MisterbnbのCEO Jost氏と彼のパートナーがAirbnb利用時に宿泊先のホストの女性から言われたそんな言葉から生まれたMisterbnbは、泊まる人さえ心を開けばゲイであるかどうかは関係なく、男女ともに迎え入れてもらえる、外国に滞在しながら疎外感を感じさせないところが最大の魅力なのではないでしょうか。

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関 希実子 (Leading&Co.)
「No」と言えない日本人代表。多民族・多文化都市シドニーに移住したことをきっかけに、イージーな価値観を勉強中。
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