成功する確率が2%でも、子供のやりたいことを支持してあげることが次のザッカーバーグを作る

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(TechCrunch)

アメリカのベストセラー作家であるマルコム・グラッドウェルは、世界で一流と呼ばれる分野の人たちの仲間入りをするためには、最低「1万時間」の努力が必要だと述べました。

最近の「ミレニアム世代」と呼ばれる若者は、従来の考え方に逆らって、地球の未来を心配し、お金儲けよりも世界を変えたいと考える傾向にあり、彼らは毎晩遅くまでプログラミングをするようにと脅す親や上司がいなくても、自分たちの意思で「1万時間」の努力をしようとします。

↑プログラミングをするように脅す親がいなくても、自発的に動く人と動かない人がいる (hackNY.org)

トニー・ワグナーは、著書『未来のイノベーターはどう育つのか』のために行った調査で、イノベーターとその親、教師、そしてメンターなど計150件以上のインタビューで、最もよく出てきた言葉は「情熱」だったと述べており、また初代iPhoneの開発チームに参加したアップルの従業員も次のように述べています。

「ものすごく大変な仕事でした。ぼくのチームは想像を絶する犠牲を払っていたと思います。うちに観葉植物があったら枯れていたでしょうし、イヌを飼っていたら逃げられていたでしょう。恋人がいたら捨てられていたでしょうね。チーム全員がそんな感じでした。でもそれが、そのとき僕らがやりたかったことだったのです。」

↑お金でも名誉でもなく、これが僕たちのほしいと思ったもの (Gonzalo Baeza H)

若い時期に抱いた情熱は、やがてより深く持続的な「目的意識」へと変わりますが、孫正義さんは、15歳の時に出会った司馬遼太郎の小説「竜馬がゆく」を読んで感銘を受け、19歳にして事業50年計画を立て、そのほとんどを実現させています。

孫さんは、成功とは冷めない情熱を一生持ち続けられるかどうかで半分は決まる、と述べていますが、若きビル・ゲイツ、スティーブ・ジョブズ、そして最近ではマーク・ザッカーバーグが親や上司に指示されず、自分の意思で「1万時間」をやってのけたのは、彼らの情熱以外のなんでもありませんでした。

↑人生の半分は冷めない情熱を一生持ち続けられるかによって決まる。(recode)

ビデオゲームの父と呼ばれ、ジョブズの師匠でもあるノーラン・ブッシュネルは、「好奇心と情熱をもつ人は読書をする。無関心・無感動な人は読書をしない」と述べていますが、ある調査によると脳が発達する3歳までに絵本の読み聞かせをしてもらっていた子どもは、その後も自発的に楽しみながら読書をすることがわかっており、イノベーターに必要な好奇心の芽は、人生の最初の3年間にかかっているのかもしれません。

↑3歳までに本を読み聞かされた子供は、その後も自発的に読書をするようになる (Martin

Gommel)

実際、イノベーターの親たちほぼ全員が、頻繁に子どもに読み聞かせをしており、あるリサーチによれば、読み聞かせや語りかけをしてもらっていない子どもとの認識力の差は1歳半で現れ始め、2歳で30%の差が開き、年齢が増すごとにボキャブラリーやコミュニケーションスキルの格差はどんどん開いていって、後戻りできないことが分かりました。

格差の激しいアメリカでは、小児科医が0歳児のころから絵本の読み聞かせを推奨しており、日本でも市や区などの自治体が、生後数か月の赤ちゃんに絵本をプレゼントする「ブックスタート」という習慣が広まり始めています。

↑本を読み聞きかせるかどうかで、将来のコミュニケーション能力が大きく変わる (Scott Sherrill-Mix)

子どもに価値観を押しつけないことも重要だとイノベーターの親たちは口をそろえており、子どもが自発的に情熱を見つけて追いかけるのを応援することが、自分たちの最も重要な仕事のひとつだと確信しているようです。

マーク・ザッカーバーグの父は、周りの子供たちがバスケットボールをやっているから自分もやりたいというザッカーバーグに対し、その理由は間違っていると道具を買い与えませんでしたが、「強くなりたい」と理由を述べたフェンシングには、翌日に道具をすべて購入してあげました。

さらにザッカーバーグがコンピューターに興味を持ち始めると、すぐ様家庭教師をつけてあげたと言います。

ピューリッツァー賞を3度受賞し、世界的に有名なジャーナリストであるトーマス・フリードマンは成功する可能性が2%しかなかったとしても、子供がやりたいと思ったことをサポートすべきだとして、かつて娘の選択が間違っているように思えたときも、何もアドバイスをせず見守り続けたと述べています。

↑自分の意思で始めるものは徹底的にサポートする。(TechCrunch)

青色発光ダイオードの研究でノーベル物理学賞を受賞したカリフォルニア大学教授の中村修二さんは、小学校の文集に「アトムを育てあげたお茶の水博士のような科学者になる」と書いており、イノベーターと呼ばれる人たちは早くから情熱の対象を見つけることが多いようですが、10代にして人生の目標を抱くことはそれほど容易なことではありません。

実際、2015年の新成人のうち、4人に1人は将来なにをしたいか「わからない」と回答し、ビジネスマンの8割がいやいやながら仕事をいているというデータもありますが、世界をあっと言わせることはできないまでも、現在の日本の閉塞感の主な原因はこの辺りにあるのではないでしょうか。

↑何して良いか分からない人、いやいや仕事する人が作り出す閉塞感 (Reuben Stanton)

オーストラリアで看護師をしていたブロニー・ウェアさんは、死を目前にした患者が最後に後悔していることを記録し続け、その中でもっとも多かった答えは、「他人の期待に合わせるのではなく、自分に正直に生きる勇気がほしかった」だったと述べていますが、親としての最も大事な役目は、仕事やお金に困らないように色々してあげることではなく、自分に正直に生きる勇気を持てるように後押ししてあげることなのかもしれません。

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児玉 はなえ (Leading&Co.)
商社やラグジュアリーブランドでのマーケティング、デジタルコンテンツ担当を経てフリーライターに。
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