残業が当たり前になったことで、日本から「夕食」という言葉が消えた

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(Rishi Bandopadhay)

昨年、国連で食料問題を担当しているデシューター氏は、ジャンクフードが「タバコよりも人類の健康上の大きな脅威になっている」と警告しました

日本ではジャンクフードというとファーストフードのイメージが強いですが、海外ではスナック菓子も含めた意味合いを持ち、特に最近ではポテチ(スナック菓子)依存症が問題視されています

美味しいご飯や野菜を食べていても、お腹が満腹になれば食べることをやめられますが、ポテチは「美味しいというより気持ちがいい」という快感を脳に与える食品であり、「疲れが吹っ飛ぶ」といったドラッグ的な効果があるため、満腹になってもなかなかやめることができません。

↑ポテチは「美味しいというより気持ちがいい」という感覚を脳に与える (Hugo Martins Oliveira)

「ポテチを異常に食べる人たち」の著書、幕内秀夫さんの調査によれば、スナック菓子には脂質量が平均30%前後含まれており、これは美味いと呼ばれるものの代表格である豚バラ肉やサーロイン・ステーキ、そしてマグロの大トロと同じレベルの脂質量であり、人間が一番美味しいと感じる目安でもあるそうです。

プリンストン大学の調査によれば、大量の砂糖を摂ることを習慣付けられたネズミは一定期間の中断の後、再び摂取できるようになると、どんな労力も惜しまず砂糖を欲しがるようになり、その時の脳の状態はコカインやヘロインを与えた時と似た反応を示していました。

↑スナック菓子はステーキと同じ脂質量 (su-lin)

2010年の調査によれば、共働きや単身者が増えたことで、アメリカ人が食事の代わりにスナックを食べる割合が急増しており、イギリスでも社会人の3人に2人がランチを抜いているという統計があります。

日本でも不況の煽りを受けて、人材がカットされ、深夜残業が当たり前になったことで、従来18時から19時に食べる「夕食」という言葉は死語になり、家に帰ってから「夜食」を食べるまで、スナック菓子でお腹を満たしています。

↑深夜残業が当たり前になったことで、日本から「夕食」という言葉が消えた (Rishi Bandopadhay)

日本マクドナルドの創業者、藤田田さんは「人間は、子供のころに食べた味はその後一生食べ続ける」と述べたそうですが、今の子供は生まれた時からスナック片手に育っており、最近は子供が喜ぶとして、ポテチピラフなどスナック菓子を使った料理まで紹介されています。

イギリスでは子供の弁当にポテチを持たせる親がなんと41%もいるそうで、ポテチ依存症になる子供もどんどん増えています。

↑人間は、子供のころ食べた味はその後一生食べ続ける (timlewisnm)

「ポテチを異常に食べる人たち」の著書、幕内秀夫さんは、人体実験としてポテチを20袋買い込んで10日間、一日2袋のペースで食べてみたそうですが、全て食べ終えた所で味覚が変化し、納豆にマヨネーズをかけて食べている自分に気付いたそうです。

つまり、脳がカラシや醤油の刺激では満足できなくなってしまったということです。

↑スナックを食べる続けることで次第に味覚が麻痺し、以前の刺激では満足できなくなっていく (jslander)

最近では柿の種でも、ナムル味や塩だれ、チョコレート&アーモンド、スパイシーカレーなど、メーカーはあの手この手で消費者を惹きつけようとしていますが、この背景には消費者の脳と舌が、今までの刺激では満足できなくなってしまっていることがあげられます。

厚生労働省の調査でも、20~60歳代の男性の31.2%、女性の22.2%が肥満となっており、以前は平均寿命が全国1位だった沖縄も食生活が激変したことで、2000年には26位まで一気に落ちてしまいました。

沖縄の現状は「味覚破壊は健康を損なう」ことを示していますが、口に入れる一つ一つのものが、未来の自分を作るということを自覚して生きていかなければいけない時代に突入しているのかもしれません。

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NAOKO (Leading&Co.)
東京でスタイリストとしてキャリアをスタートさせ、広告・出版業界に携わる。ロンドンやパリでも経験を積み、現在はライターとしての活動をメインに翻訳・海外ビジネスコンサルティング等も行いながら世界中を飛び回っている。
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