​NASAより宇宙に近い日本人「"どうせ無理"という言葉をこの世から無くさなければ」

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(NASA's Marshall Space)

世界の自動車王ヘンリー・フォードが、20世紀初頭にT型フォードの生産を開始して以来、企業はさまざまなモノに規格を作って工場のラインに乗せるようになり、洋服やドリンクのS、M、Lといったサイズを始め、私たちは規格を前提に商品を選ぶようになりました

同じモノが大量に出来上がる社会では、「規格外」であることは「クレーム」の元になるため、クレームを避けるために実績と前例から、ものを考える企業が増え、そのような企業の型からはみ出ない、「指示待ち族」と呼ばれる会社員が生み出されました。

↑20世紀の大量生産が「会社員」という職種を生み出した (tokyoform)

これまでの社会は大量生産世界を背景に、1を10に、10を100にする作業を繰り返してきましたが、これは賃金が1/10の中国でも出来ることですし、そもそもモノが世の中に行き渡ってしまったら終わりで、戦後からアメリカのやり方をひたすらにコピーしてきた日本の先が見えない原因は、この辺りにあるのかもしれません。

「写真フィルムの巨人」と呼ばれた米コダック社は、自社の事業を「カメラとフィルムを作ることだ」と創業から定義していましたが、デジタルという新技術を含めて、カメラの可能性を追求するのが遅すぎたために、2012年に破綻してしまいました。

一方で、iPhoneの登場によって、デジタル写真は新たな可能性を生み出し続けており、「写真に特化したSNS」としてアプリからスタートしたInstagramは、フェイスブックなどの外向きのつながりと違い、「感覚」が通じ合う内向きのコミュニティとして、写真を共有することの価値を創りあげ、2014年12月の時点で、利用者数3億人を突破しています。

↑大きい企業ではなく、進化し続けられる企業が強い ([cipher])

成功した企業は、必ずしも確かな予測ができていたわけではなく、誰もやったことのないことや、誰もがあきらめるようなことに挑戦し、規格や社会の常識から外れることで発展し続けています。

北海道赤平市にある植松電機は、リサイクルに使うパワーショベルにつけるマグネットを製造する社員20名ほどの会社ですが、別の事業として、宇宙開発も行っており、社長である植松努氏は、会社の稼働率を下げて、余らせた時間を使って、自費で世界でたった3カ所しかない無重力実験施設を作り上げました。

植松氏は、社会から「どうせ無理」という諦めの言葉を無くしたいという思いで、宇宙に挑戦し続けているそうですが、今やNASAの関係者もこの実験施設を使いに、はるばる海を越えてやってくるそうです。

↑「どうせ無理」という言葉を無くしたい (Youtube)

「時間がある」というのは、創造に欠かせない要素で、古代ギリシア語で余暇を「スコーレ」と言うそうですが、これがスクール(学校)の語源だとも言われています。

7月から公道での使用が許可されるとニュースになっている2輪走行ロボット「セグウェイ」は、アメリカの発明家ディーン・ケーメンが、もともとは車道から歩道に乗り上げられず、苦労している障害者を見て開発した、平行二輪車の車いすの販売許可がなかなか下りなかったため、その待ち時間と技術を応用して誕生したものだそうです。

↑何かを「生み出す」ためには、時間を作らなければならない (Michael Tapp)

2010年にミシュラン2つ星を獲得してから10万件の予約が殺到し、現在世界一のレストランと呼ばれるようになったデンマークの「ノーマ」は、地元の素材、伝統的な調理法で料理を提供していますが、その提供方法は革新的で、一皿ごとにシェフが料理の説明をしにテーブルに赴き、蟻(あり)やデンマークの雑草を料理に添えるだけという一皿が出ることもあるそうです。

格式ばったメニューや形式的なサービスのないノーマは、77人ものシェフを抱え、その人件費から資金難を心配する声もありますが、シェフは全員同じことを考えおり、そのうちの一人レネ・レゼッピ氏は次のように話しています。

「テーブルに座っているお客様に、いかにして、その日、その瞬間の気候、素材の風味や状態を伝えることができるか。」

↑イノベーションはもしかしたら、安さでも味でもないのかもしれない(cyclonebill)

夢がたくさんあれば、1個ぐらい挫折しても平気だと言いますが、例えほとんどが現実的でないと思えることだとしても、常に「こうしてみたら」と考えていることでしか、未来はつくれないのかもしれません。

植松電気の植松氏も以下のように話してます。

「一番つらくて悲しいことは、可能性が失われることです。・・・"どうせ無理"という言葉は、この世からなくしたほうがいいんです。」

どれだけ失敗するかは関係なく、人生最後に勝つのは、やはり、どれだけ「やったか」なのではないでしょうか。

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ヘヤジン編集部
部屋探しが3度のご飯より好き!部屋探しによって人生をより良く変える「ヘヤ・ハッキング」の提唱者。『ヘヤじい』の愛称でもお馴染みのヘヤジン編集部員。
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